活動レポート2021年6月期
竹富島地域自然資産財団の環境保全活動をピックアップして紹介します。
2021
2021年6月30日
島の生態系調査
竹富島の環境保全を進める上で現在の島の状況を確認することはとても重要であり、島の生態系調査は当財団の主要な事業のひとつとなっています。今回、竹富町教育委員であり生物学者である島村賢治氏の協力のもと、花城御嶽周辺やコンドイ浜周辺における生態系調査を実施しました。そのなかで絶滅危惧IAに属するリュウキュウチシャノキを発見。島村氏によると「極めて貴重で天然記念物として保護すべき」とのことで、GPSにより位置情報を記録し、改めて詳細な調査をすることとなりました。その後もヤシガニやシロアリの巣、ヤエヤマヒトツボクロという蘭の一種、キノコなど豊かな生態系を見ることができました。訪れる時間帯によっても見られる生物が変わるとのことで、今後も調査を継続していきます。
2021年6月30日
粘土池をひとつに
伝統的な瓦ぶきに使用する粘土を作成している粘土池。工事の範囲が広がったことから隣り合わせの位置に池を増設し、別々に補水や混ぜ込みをしてきていました。今回、新設した粘土池でも土に混ぜ込んだ藁が分解され熟成してきたので、池同士の間を隔てていた土壁を崩してひとつの粘土池として混合しました。今年の1月以来、国の重要文化財「旧與那國家住宅」の修復工事に使用される瓦ぶきに使用する土作りを竹富公務工房と協働で行なってきましたが、混ぜ込みはこれが最後となる予定。今後は、使用する2週間前ほどまで補水を続け、最終的な熟成を進めていきます。
2021年6月13日
粟の収穫
竹富島で古くから育てられている伝統耕作物であり、祭祀供物としても使用される粟。昨年12月に種まきを行なって以来、雑草抜きなど手をかけてきた粟が大きく穂を垂れ黄色に色づいて収穫どきを迎えました。収穫間近に雨が多く降ったので、一部カビてしまっているところはあるものの、虫に多く食べられてしまった昨年に比べて、今年は大きな虫害や鳥害もなく良い実の入り様。講師である前本隆一氏から収穫方法を教わり実施しました。鎌やハサミを使い、穂先プラス50cmほどの長さで刈り取り、マーニ(クロツグ)の葉で縛ることで束を作ります。竹富島では粟収穫用のコンパクトな鎌がよく使われていたといい、実際に使用すると1房ずつ刈り取るのに便利なサイズ。テードゥンムニ(竹富言葉)では、鎌のことをイナラーと呼ぶそうです。ガシと言うこともあるそうですが、本来はイナラーが正しく、カマキリもイナラームシャーと呼ぶのだそうです。今年の粟は、まさに豊作と言って良い出来具合で、同じく粟畑を敷地内に持つ星のや竹富島のスタッフさんにも手伝っていただき、軽トラック半分にもなる量を収穫しました。財団理事も子供と共に参加し、島の将来を担う世代に伝統耕作に触れてもらうこともできました。今後は、天日干しによる乾燥を行い、脱穀や籾摺りなどを行なっていく予定です。先日植え付けた落花生や緑豆も花をつけ、まもなく収穫時期。竹富島の伝統的な作物が元気に育っています。
2021年6月11日
粘土池の混ぜ込み
国の重要文化財「旧與那國家住宅」の修復工事に使用される瓦ぶきに使用する土作りを竹富公務工房と協働で行なっています。前回5月17日に土の混ぜ込みを実施し、水のたまり具合を見ながら補水を行なってきたましたが、そこから1カ月が経過し、表面がひび割れるようになってきたため再度混ぜ込みを実施しました。周辺の雑草が成長して泥の上を這っていたので、その除去も同時に作業。底が浅い部分をスコップで掘り起こしつつ、全体的に底面を粘土でコーティングしなおすように塗りつけることで保水力を高める工夫も。暑い日差しのなか、蚊と悪い足場と奮闘しながら、泥にまざった小石も取り除きました。
2021年6月10日
フクギ周りの除草
防風林の植林として実施しているフクギの植え付け。雨後のタケノコならず、久しぶりのまとまった雨のあとに雑草が驚くほどの勢いで成長し、フクギを覆い尽くしてしまいそうでしたので除草を実施しました。竹富港近くと外周路沿いの2箇所に植えたフクギ周りを対象に、草刈り機で大まかに刈り取り、港側では手作業でしっかりと抜き取りました。成長は遅いものの、フクギも新芽を出して少しずつ大きくなってきました。
2021年6月3日
ガヤ畑予定地を耕起
竹富島らしい景観と生態系を含む自然の両方を取り戻すため進めているガヤ畑づくり。前回の作業でギンネムや雑草の除去を実施した全体約4000㎡のうち2/5の土地で、すでに伸びてきていた雑草の除去を兼ねた耕起を実施しました。深く耕すと石が出てくるということで、耕す深さは浅め。残っていたギンネムの根もある程度は砕かれて掘り起こされていたので、ガヤ畑のベースを作るにはとても良い作業。柔らかい土にすることでカヤが根付きやすくするとともに、雑草の繁殖を抑えることができて、さらに漉き込んだ雑草が分解されることで肥料にもなるという目論見です。今後、残りのカヤ畑予定地の開墾を進めると同時に、あと2度ほど軽く耕運機で耕して雑草の除去を試み、ガヤの種子植え付けを実施します。