活動レポート2022年07月期

竹富島地域自然資産財団の環境保全活動をピックアップして紹介します。

2022年7月29日

粟の収穫と脱穀

竹富島の伝統作物「粟(あわ)」の収穫から脱穀までを島の古老から習いました。茎の長さを揃えて鎌で刈り取ります。ここ数年はカメムシが生育した粟粒を吸汁してしまうことが多かったのですが、今年は雨が強く降ったことでカメムシからの被害を避け、例年よりも多く穫れました。収穫した粟穂を天日干しした後、次は脱穀を行います。まず電動の脱穀機で粟穂から粒を落とし、次に、風を起こして粟粒以外の異物を飛ばす唐箕(とうみ)という機械を使います。しかし、粟粒は小さく軽いので全ては分離出来ず、手箕(てみ)やザル、フルイを使用して穂の残りを取り除きました。また、穂から落ちてない粟粒は棒で満遍なく叩きました。そして機械で精穀し、ついにきれいな黄色の粟粒となりました。この粟は島の祭祀供物として奉納されます。財団では今後も「祭祀に関わる供物の再耕作」に取り組んでいきます。


2022年7月15日

旧与那国家住宅の石垣修復

国の重要文化財として2007年に登録された旧与那国家住宅で、西側の石垣2箇所が崩落したため、島の古老に習い、石積み作業が行われました。研究者をはじめ竹富町役場や教育委員会の職員、集落支援員、島民など多くの方が集まりました。調べてみると、石垣の内部で桑の樹が育ち幹が太くなっていることも崩落した要因のひとつと考えられました。最初に崩落部分周囲の石を動かし、中にあった樹を伐採した後、石を積み上げていきました。石は形状だけでなく色合いにも注意が払われ、修復作業が完了した石垣は崩れていない部分と比べて遜色なく溶け込んでいました。竹富町役場の職員は竹富島の伝統的な工法を継承、さらにはその安全性を検証するべく、石垣修復作業を映像および写真で記録しました。今後も旧与那国家住宅を管理する上で、後世にその姿を残せるように保存していきます。お越しの際は建物だけでなく、修復した石垣も是非ご覧になってください。