活動レポート2022年12月期

竹富島地域自然資産財団の環境保全活動をピックアップして紹介します。

2022年12月19日

竹富島由来の粟と小麦

今回のプロジェクトは、竹富島の粟の調査から始まりました。粟や麦は島の祭事に欠かせない伝統作物ですが、以前、農業の専門家による調査で、竹富島の粟は純粋な在来種ではなく複数の品種が交配、混合していることが分かりました。 島のお年寄りの中には、粟を使った伝統食物の「イイヤチ」の味が昔とは だいぶ違う、色も変わったと言う人が少なくありませんでしたが、それを裏付けるような調査結果となりました。 そこで、財団では、茨城県つくば市にある「ジーンバンク(農研機構遺伝 資源センター)」に依頼をして、竹富島在来の粟と麦の種子を提供して頂きました。その種子を島の長老から習い、竹富島の小学生とともに「種子下ろし」しました。 始めに長老から竹富島の農耕について、種蒔きのときに行う願い(ニンガ イ)の由来について学びました。 昔から竹富島では、米は作れないので、サバニで西表島まで渡り、そこで 米作りをしていたことを聞き、子どもたちはその歴史について深く関心を 持っていました。 また、「種子下ろし」の儀式の際に地面に立てる、ユッキ(ススキ)を使 用した結びのことを「サン結び」と呼びますが、そのサン結びを3本立てる由来となった「アールマイ※1」のお話しについても詳しくお話ししてもらいました。今回は、財団で作成した木製のプランターに粟と小麦の種を蒔き、子どもたちが習ったサン結びをそれぞれ作って、長老に続いて祝詞を復唱し、種子下ろしの儀式を完了しました。
来年には竹富島由来の粟と小麦を収穫し、祭祀の際に奉納できるように、引き続き注力して育成事業に取り組みます。
※1 アールマイのお話しは島に舟で来た、厄災の神様から作物を守った青年のお話しです。