活動レポート2021年5月期
竹富島地域自然資産財団の環境保全活動をピックアップして紹介します。
2021
2021年5月17日
粘土池の混ぜ込み
竹富島にある国の重要文化財「旧與那國家住宅」で実施されている修復工事。その瓦ぶきに使用する土作りを竹富公務工房と協働で行っています。修復範囲を大きくすることが決定したことに伴う粘土池面積拡大を4月に実施し、水のたまり具合を見て補水を行ないながら、粘土の乾燥が早くなる時期に合わせて混ぜ込みを実施してきました。今回もほぼ毎日水を足していたにも関わらず、粘土の表面がひび割れてすぐに乾燥するようになってしまったため、再度混ぜ込みを行い、粘土池の底面を粘土でコーティングしなおすことで保水力の復元を目指しました。集落支援員も国の重要文化財の修復作業ということで参加。また星のや竹富島の方がひとり、以前より竹富島の環境保全活動に興味があったという事で休日にもかかわらず個人的に参加していただけました。ランナーを粘土のうえに伸ばしてきていた草の除去を行い、混ぜきれていない部分もスコップで掘り下げながらの混ぜ込み作業を、みんなで汗まみれ、泥だらけになりながら行いました。傍らではこの粘土池で育ったオタマジャクシが、まだ尻尾は残っているもののほぼカエルとなった姿で眺めていました。強い日差しが続いたための急な作業となってしまいましたが、手伝っていただいた方には本当に感謝です。
2021年5月16日
緑豆畑の除草
竹富島で小さな豆クマミとも呼ばれ、昔から育てられてきている緑豆。耕作放棄地再生について多くのことを学ばせていいただいている講師の前本隆一氏が植え付け、高さ20cmほどまで育ったところで、雑草も多くなってきたので除草作業を実施しました。竹富島では「おしるこ」にこの緑豆を使うのが伝統的な作り方。小豆色ではなく、うっすら緑色のスープが特徴ということです。また、次の植え付け準備として小型耕運機を使った土起こし、石拾いも行いました。畑では、そろそろ収穫時期を迎える粟が多くの穂を重たそうに垂れ、今年の豊作を感じさせています。落花生も黄色い可愛らしい花をつけ、これから実をつけていくところ。小中学校の畑に続き、こちらも収穫がとても楽しみです。
2021年5月11日
小中学校で作付け
竹富島の農耕文化が希薄になりつつある現代において、次世代を担う子供達に島の農耕に触れてもらう機会を作ろうということで、「竹富小中学校」および「星のや竹富島」を中心として、学校敷地内の畑で農作物の植え付けを実施しました。学校からは園芸委員の生徒たちと担当教員、校長先生に教頭先生も参加。約100㎡の畑に粟、大豆、小豆、緑豆、ゴマ、落花生、きゅうり、トマト、サツマイモを植え付けました。財団で耕作地再生の講師をお願いしている前本隆一氏に教えてもらって作成した、竹富島での作物植え付け収穫時期一覧「竹富島の24節気農暦」では、じつは今どの作物もベストな植え付け時期ではないのですが、豊作を望めないだけでまったく実らないということはないとの隆一氏の話を交えて生徒たちに農暦の説明を行い、植え付けました。粟やゴマといった小さいタネは、竹富島流に砂と混ぜて播種。タネの密度を調整したり、蒔いた場所がわかりやすいといった砂にタネを混ぜる理由も説明しながら種まきを体験してもらいました。またトマトの苗の間には大豆を撒き、こちらも植物がお互いに必要とする養分を提供し合うことで、よりよく成長してくれるといった手法なども紹介。子供達は遊びのように楽しんでいましたが、植え付けとなると真剣な顔をしていたのが印象的でした。あとは毎日の水やりを園芸委員と先生が分担して実施することで、自分が植え付けた作物が成長する楽しみを実感してもらいます。今から数カ月後の収穫が楽しみです。
2021年5月4日
ガヤ畑予定地を開墾
竹富から消えつつある茅。竹富島ではガヤと呼び、家の屋根を葺いたり様々な用途で使用されていました。もともとは休耕地などに生えていることが多かったそうで、近年は畑がなくなったことや外来種のギンネムなどの影響により急激に減少、そこで暮らしていた多くの動植物の生活も変化し、ガヤのなかで多く見られたウズラなどの数は減っていると言われています。そんな現状のなか、竹富島らしい景観のひとつであるガヤの植生を再生し、昔ながらの生態系と伝統建築材の確保を目指すためガヤ畑の作成を開始しました。前回は種子を採取し、今回はガヤ畑予定地にて除草、伐採を実施。島の方よりガヤ畑として使用してもいいよと言われた場所は、もともと牧草地でしたが、今は外来種のギンネムやシロバナセンダングサ、牧草が濃く茂っていたため、草刈機にて刈り取ることから開始しました。少人数で9日間にわたり作業を実施し、途中からは牧草刈り取り機などを好意でかけていただき、約4000㎡の予定地の2/5ほどをなんとか除草完了。太く育ったギンネムはノコギリでしか切ることができず、なかなかに手強い作業となりました。今後、残り部分の除草を進めると同時に、刈り取りが終わった部分を1度軽く耕運機で耕し、雑草の除去を試みてガヤの種子植え付けを実施したいと思います。